ほてりと冷えは全く正反対の現象にように思えるでしょう。
一方は冷たくて、他方は暑いのです。
しかし、実はここには無視できない密接な関係があるのです。
冷えには手足が冷たいとか、震えがくる悪寒、手先や足先が冷たいなどの症状があり、ほてりには発熱や顔面が紅潮する、頭に微熱を感じる、手足が熱っぽいなどの症状があります。
これらの症状は西洋医学では病気ではありませんが、東洋医学では人体の陰陽の関係として捉えられています。
この西洋と東洋の中間にある中医学では、冷えを体内の陽(陽の気)が不足するかダメージを受けたために体を温める機能が低下している状態と考えています。これを陽虚と言います。
そして、陽気の不足や傷害が進んで体内の陰寒が激しくなると、陽気を外に隔離しようとします。これを中医学では真寒仮熱と言います。
- 陽虚
熱のない悪寒、手足の冷え、手足の先端が冷える、顔色がすぐれない、脈が遅い - 真寒仮熱
体に熱を感じる、顔面が紅潮、口が渇く、無気力、倦怠感、手足が冷たい、水のような便、拍が遅くなる、尿の色が透明になる、舌の色が白くなる
中医学とは
『中医学』とは、日本でいう“東洋医学”とほぼ同じことです。
しかし厳密にいえば、東洋医学には、東洋の範疇となるインド医学、チベット医学などが含まれるため、あえて『中医学』という名称を使っています。
中医学は、中国伝統哲学(つまり日本でいうところの“東洋哲学”)が基本となって発展してきた医学です。
西洋医学(現代医学)が、解剖学から発展した医学であることに対し、中医学は哲学理論にのっとって、発展してきた医学です。 つまり、哲学で人間の身体の仕組みを考え、病気の状態を解明し治療していく医学なのです。
出典:中医学って、何? | 薬膳・中医学について | 日本中医食養学会
中医学では、ほてりは体内の陰が不足して陽の気が外に浮散している状態と考えていて、真寒仮熱のほかに、
- 血虚発熱
- 陽虚発熱
- 気虚発熱
などがあります。
陽気が強いのではなく、陰血(血液は陰に属する)が不足したり、ダメージを受けているため相対的に陽の気が盛んになり、陽の気が外に浮散している状態。
陽の気が弱くなりすぎて外に浮越している状態。
脾に属する気が不足して、陽の気がコントロールできなくなっている状態。
- 血虚発熱
ほてり、動悸、不眠、唇や舌の色が淡くなる、脈が細く速い - 陽虚発熱
ほてり、顔面や手足のむくみ、体や手足が冷える、思考力の減退、水のような下痢
中医学の則ってみると冷え性のタイプもさらに分けて考えることができます。
このような状態はかなりひどい冷え性の症状になるので、こうなる前に冷え性対策していきましょう。
汗かきの人も実は冷え性かも…その理由は?
汗をかいて体温を下げるのは、十分な運動で必要以上に体温が上がっている時にはいいのですが、ちょっと動いただけで汗をかいたり、激辛でもない普通の食事で食べているうちに汗をかくのは、余分な水分を捨てて体を温めようとする身体の無意識の反応だと思ってください。
ちょっとした動きでも汗をかくのだから冷え性ではない、というのは間違いです。
実は、体内に余分な水分が多くて体が冷えていて、本能的に体が身を守るために温めようとして水分を排出する機会を待っていて、ちょっとした動きで汗をかくのです。
このことから言えるのは、汗っかきでやや肥満傾向の人は実は暑がりやではなく、冷え性の可能性が高いということです。
これは、内臓が冷えた症状なのです。
このような人は、内臓の温度を上げて、体が痩せ易い状態を作る必要があります。内臓温度が1度上がると基礎代謝は20%も上がると言われています。
女性の場合は特に、骨盤内臓器の冷えが婦人科系のトラブルや下半身太りやむくみなどの原因になりますから、ダイエットを試みている女性でもカロリー制限や食事制限ばかりにとらわれず、冷えの改善にも目を向けるようにして下さい。
冷え性に関係する女性のトラブルは子宮に現われることが多く、男性の場合は腎臓に現われます。
さらに、ストレスにより自律神経のバランスが崩れることも忘れてはなりません。
自律神経は、人の意思ではコントロールできない内臓の働きや体温調節機能などをコントロールする役割を担っていますから、そのバランスが崩れると、実に様々な障害が起こります。
正常な状態では冷えがあれば、自律神経が働いて体がそのバランスをとろうとしますが、それができなくなり、また、ストレスと緊張で末梢血管も収縮してしまい、その結果として冷え性になり、冷え性の現われ方が大汗かきになったりするのです。
冷えのぼせ症状がつらい!改善法はある?
顔がほてってのぼせてしまう、冷えのぼせという現象があります。
顔や体の上半身が熱くなって強い眠気を感じたり、集中できなくなったりした場合は、冷えのぼせです。
そして、のぼせ症はある意味では冷え性の極限状態だということを理解しましょう。
顔に限らず手や足でも、局部的にほてるという現象は、そこが温かいからではなく、実はその反対にそこが冷えていることなのです。
冷えている感覚がなくても、知らないうちに足もとが冷えていることがあります。
顔がほてるので暑いと誤解しがちですが、足もとを触ってみると冷たい場合は注意しましょう。
体内の血液がちゃんと循環していないために起きる冷えのぼせ状態なのかもしれません。
この症状はホルモンバランスの乱れタイプの冷え性の可能性があります。
顔がほてる時は下半身を十分に温めて、体内全体の血流が良くなるようにしてみましょう。
そのためには浴槽での半身浴をお勧めします。
そして、浴槽から出た後は水気を十分拭き取り、温かいパジャマなどに着替えるとともに、5本指靴下などゆったりした靴下を履いて足を冷やさないようにして下さい。
こののぼせ現象は女性ホルモンが減少する更年期に起きやすい症状ですが、最近はホルモンの乱れによって、若い女性に起こることもあります。
この対策としては、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンを積極的に摂るように心掛けてみるのもいいようです。
大豆イソフラボンは、豆乳や豆腐などの大豆製品に多く含まれています。
また、ビタミンEを積極的に摂取するのもいい改善方法です。
ビタミンEには末梢血管を広げ、血流を良くする働きがありますが、食材ではモロヘイヤやうなぎ、アーモンドなどに含まれています。
食べ物で補えない分は、血流改善のサポートもしてくれる冷え性改善サプリのリボディ25000を摂取することもおすすめです。
そして、アドバイスですが、のぼせがひどい場合は、一度病院で診察してもらいましょう。
病院では神経科、内科、婦人科などで、女性の場合はホルモンの異常など、思わぬ病気が発見される場合があります。