妊娠や出産は女性の体にとって大きな変化を起こすもので、その代表的なものではホルモンの変化や体が冷えやすくなるといったことが挙げられます。
今回は産後の冷え性をクローズアップして、どんなことをしたら産後の冷え性が改善できるのか詳しく見ていきましょう!
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産後の冷え性の原因は?冷えやすい理由と母体への影響について
産後の体はこれまで冷え性を経験したことがないという女性も冷えやすくなり、これまでの人生で体験したことがない冷えや、夏でも寒いと感じることが良くあります。
部分的な冷えに対して何か対策を取っても、あまり効果を感じないことも出てきます。
これまで経験したことがない冷えと、体の反応に不安になる方も大勢います。
赤ちゃんのお世話に忙しくしている傍らで、自分のケアまでしていくことは並大抵のことではありませんが、自分のケアもしていかないと辛い症状が続き、どんどん悪化することも考えられます。
産後の冷え性の原因や冷えやすい理由について詳しく見ていきましょう。
産後の冷え性がもたらす影響を紹介
産後の冷え性の主な原因は出産との関係がとても深く、多くの産後の女性はこの産後の冷え性に苦しんでいるといえます。
主な原因としては次の通りです。
- ホルモンバランスの変化
妊娠と出産により、女性の体内ではホルモンバランスが大きく変化するため、自律神経が乱れることがあります。
自律神経には体温調節する機能もありますので、ホルモンバランスの乱れによって冷え性になることが多くあります。 - 母乳育児による栄養不足
母乳は母体の血液からできているため、母乳育児をしている方は自然と栄養不足になりやすいといえます。
特に鉄分が不足しやすくなり、貧血による冷え性や栄養が全身に行き渡らないための冷え性といったように冷え性になります。 - 運動不足による筋肉量の低下
妊娠中は負担の大きな運動はできませんから、どうしても筋肉量が低下してしまいます。
そのまま産後を迎えても赤ちゃんのお世話がありますので、思うように筋トレができるとは限りません。
筋肉量の低下により皮下脂肪がついてしまい、冷えやすく温まりにくい状態となってしまいます。 - 骨盤のゆがみ
出産時に大きく開いた骨盤はすべての女性が正常値に戻るとは限らず、歪んでしまうことが多いです。
骨盤のゆがみはホルモンバランスの乱れにも影響し、体温調節にも大きく関係してきます。
自律神経との関係も深いのでできるだけ歪みを治しましょう。 - 水分不足
母乳育児をしていると当然水分も不足しやすくなります。
体内の水分が少なくなると、血液はドロドロしてきてめぐりが悪くなり冷える、という悪循環が発生します。 - むくみや食べ過ぎ
産後は運動不足や睡眠不足のため、食欲もコントロールしにくくなりやすいです。
育児の不安や疲労、妊娠中の体重管理などの緊張感からも解放されたことによって、つい食べ過ぎたり飲みすぎることも出てきます。
こうしたストレスが冷えやすい体を作る原因になります。
この中でも深刻なのは骨盤のゆがみで、積極的に治していかないとなかなか治ってくれないもののため、継続的にエクササイズや整体に通うなどの治療を行う必要があります。
また骨盤が歪んでいると太りやすくなることもわかっていますので、今後の生活の上でも注意が必要です。
産後の冷えによる影響はさまざまなものもがあり、万病のもとと言われるだけにかなり多くの諸症状があります。
産後の冷えによる主な諸症状は多岐にわたり代表的なものを紹介します。
- だるさやめまい
- 肩こりを始めとするこり
- 腰痛や頭痛
- 気持ちの落ち込み
- 不眠
- 便秘や下痢
- 免疫力の低下
- 母乳の分泌量や質の低下
- 悪露が続き母体の回復が遅くなる
こうした諸症状は日常生活でもあり得るものもありますが、産後の赤ちゃんのお世話をしながらだとかなり厳しい状況になりますし、辛く感じることも出てきます。
産後だからこれくらいしょうがないという年配の方もいますが、産後の冷え性は放置厳禁のため、必ず何らかの対策をとっていかなければなりません。
思い当たる症状がある方は無理をしないで休む時間を作ったり、赤ちゃんが眠っているときは自分も一緒に横になるなどして母体の回復や症状の緩和を目指すと良いでしょう。
産後は冷え性以外のマイナートラブルも多い!早めの対処がカギ
産後の体はかなり急激に変化が起こっていて、出産したことにより体そのものも早く妊娠前の状態に戻ろうとします。
これまで述べてきたように、冷え性になりやすい状態ですが、そのほかにもいくつものマイナートラブルが生じます。
産後の主なマイナートラブルには出産時の処置したものが原因になるものもありますが、大半は妊娠中の状態から普通の状態に戻ろうとする働きによるものです。
言い換えれば体の正常な働きによるものですが、あまりにも辛いときは我慢しない方が良いこともあります。
病気ではなく、しかも病院に行くほど緊急を要するものでもない症状が多く、かといってすっきりしない状態が一定期間続く症状が多いため、いつの間にか大きなストレスになることもあります。
産後にちょっとしんどいなと思うことがあれば、あまり我慢しないで早めに婦人科を受診することがおすすめです。
婦人科の方でも、産後のマイナートラブルに関して把握しているはずですので症状が軽減されたり、楽にするために適切な薬やビタミン剤や漢方薬などを処方してくれます。
もちろん母乳育児の方でも飲めるものを処方してくれますので安心です。
産後に多い冷え性以外のマイナートラブルの種類
産後の体のマイナートラブルには産後数日間の間に起こるものもあれば、産後1か月程度などのようにしばらく続くものもあります。
代表的な産後のマイナートラブルを紹介していきますので、思い当たる方はあまり我慢しないで婦人科に相談してみてください。
- 会陰切開のあとの痛み
出産時に会陰切開をする方に多いのが、その痛みが続くことです。
産後すぐから痛むことが多く、産後1か月くらいまでの間に痛みが引いて傷もきれいに治ることが多いです。 - 膣の痛み
出産時に赤ちゃんがぐいぐい押し広げながら通る膣は、産後1か月くらいまでの間は違和感を感じたりヒリヒリするなどの症状があります。
1か月検診のときに問題がないことがほとんどですが、痛みがひどいときは助産師や担当ドクターに相談してみましょう。 - 便秘や痔
出産をきっかけに便秘になりやすくなったり、痔を患うことがあります。
痔の場合はさまざまな種類の痔になるため切れ痔、裂け痔、いぼ痔などさまざまな状態になります。
恥ずかしいと思わずに担当ドクターに相談して、適切な薬をもらうようにしましょう。
注入軟膏タイプだと3日くらいの使用で痛みや腫れなどがするすると引いていき、1週間も使用すれば気にならない程度まで回復します。 - 乳房の張りや痛み
産後はすぐに赤ちゃんに母乳を飲ませる病院と2~3日してから飲ませる病院がありますが、母体としては産後2~3日くらいから急激に乳房の張りを感じるようになります。
主な症状として生理のときとは比べ物にならないほどの乳房の張り、乳房そのものが熱を帯びたように感じる、乳房が張りすぎて痛いことがあり、母乳を飲ませ始めると乳首のトラブルによって痛みや傷が生じることもあります。 - 帝王切開の方は傷の痛み
帝王切開の方は傷の痛みが生じます。
普通分娩の方に比べて歩行も翌日か翌々日からになりますが、その訓練もかなり痛みを感じます。
傷をぎゅっと手で握ると歩行によって傷が引っ張られなくなるので、歩きやすくなります。
産後の女性だけが知ってるトラブルはメンタル面でも多い
産後のマイナートラブルというと体の変化だけに注目が集まっていますが、実は精神的なものもあります。
無事に出産し赤ちゃんと対面ができて、母乳も無事に出て、母乳を飲ませられると誰もがほっと安心します。
特に初産の方は不安も大きいと思うので、緊張や不安も大きかったことでしょう。
このようにほっとしたときになって急にさまざまなマイナスの思いがこみ上げてきたり、辛さがこみ上げてきたりして自然と涙がこぼれることがあります。
ほんの少し涙ぐむ感じでおさまる方もいれば、もっと精神状態が不安定になってイライラしたり涙もろくなってしまい、小さなことも過剰に感じやすくなる方もいます。
マタニティーブルーなどということもありますが、大幅なホルモンバランスの変化や赤ちゃんの育児に対する新たなプレッシャーなどが影響していることもあるので、まずはゆっくり休むことが必要です。
また家族との会話なども有効なので、パートナーや家族と労いの言葉をかけあうことも良いでしょう。
少し休んでも落ち着かない場合は、放置しないことが何よりも大事になります。
メンタル面の不安定さは育児にも影響するので、あまり我慢しないで誰かに話したりカウンセリングや精神科を受診して、状態にあった対応をしてもらうと良いでしょう。
ママ本人に自覚がないときは、周囲の家族から相談することもできますので、対応してもらいましょう。
実際に何らかの処置を受けるとしてもそんなに大量の薬などは出されませんし、意外とビタミン剤をもらって飲んだだけでもものすごく安心することもあります。
うつ病などの精神病のように、治療が必要になることはほとんどないので、どんどん相談した方が良いといえます。
ですが、赤ちゃんが生まれてまだまだ日数の経たないうちですので無理は禁物、我慢も禁物と考えておき、辛いときは早めに相談や対応を取るようにしていきましょう。
産後の冷え性は改善できる!ちょっとしたことに気を付けよう
産後の冷え性は多くの女性がなりやすくて、実際に経験しているものです。
反対に言えば、出産した女性のうち冷え性を経験しない女性はいない、といっても良いくらいの確率で冷え性を経験します。
ですので産後の女性はこの冷え性をどれだけ努力して改善したか、改善後も冷え性予防をどれだけ行ってきたかによって、今後の人生の中での体調が決まると言っても良いでしょう。
昔から産後は日だつまで無理をしてはいけないと言いますが、こうした冷え性の部分にも同じことが当てはまり、無理をすると今後の生活にも大きく影響するので、しっかりと冷え性対策をしておくことがおすすめです。
産後の冷え性対策に良い生活習慣を紹介
産後の冷え性対策として気を付けておきたいことは、生活習慣についてです。
産後は妊娠中と違って体重制限もないし、食べてはいけないものもほとんどなくなります。
そういった意味では、ちょっとプチ贅沢や自分へのご褒美があってもいいなと思うことも出てくるでしょう。
しかし、その少しの贅沢が落とし穴ということもあります。
産後の冷え性対策として気を付けたいことは、まず甘いものを摂りすぎないことが挙げられます。
産後の育児で寝不足が続くとつい甘いものが欲しくなりますが、白砂糖や清涼飲料水、アイスクリームは体を冷やすことあるので、最低でもこれらは食べすぎを控えたが良いです。
飲み物に関しては、できるだけ温かいものを飲むようにします。
どんな季節でも冷たい麦茶やアイスコーヒー、シェイクなどを飲んでいると体は内臓から冷えてしまいます。
冷え性を改善・予防するためには、体を冷やすものは避けるに越したことはありません。
母乳育児をしている方にも安心して飲めるものでは、たんぽぽ茶やルイボスティー、ほうじ茶などがおすすめです。
通常の緑茶やコーヒー、紅茶などは飲んではいけないということではありませんが、1日に1~2杯程度にしておきましょう。
多く飲むことはカフェインの摂りすぎや、体を冷やしてしまうことがあるので注意が必要です。
ハーブティーも良いと言われていますが、ハーブティーは種類によっては母乳育児に適さないものがありますので、詳しくわからないときは飲まない方が良いです。
またホットミルクやココアなども栄養価が高くておすすめです。
ティーライフのたんぽぽ茶は母乳育児を目指す人にもおすすめのお茶です。
さらに、季節を問わず産後は体を冷やさないことが重要です。
特に足元は冷やさないように注意して、足首も露出させない方が良いでしょう。
冷えは足元からくるという言い伝えもあるので夏でも靴下をはいたり、薄手の長ズボンやスパッツなどを履くなどして過ごすことが理想的です。
産後の体調が良いときは、ストレッチやヨガなどを取り入れて体を動かしましょう。
筋肉や関節を動かすと体のコリをほぐしたり、血行促進効果、代謝アップ、筋肉量のアップなども期待でき、冷え性改善にも効果的です。
産後は無理は禁物なので、疲れない程度に行うことがおすすめです。
おしゃれは最小限!冷え性改善を優先しよう
長い妊娠生活は思うようにおしゃれもできなかったと感じている方も多いのではないでしょうか。
産後はこんな思いから、すぐにおしゃれを楽しみたい気持ちになるママも多いのが事実です。
しかし産後のおしゃれはもうしばらくの間我慢が必要で、できれば最小限にしておくことがおすすめです。
産後はどうしても多くの女性が冷えやすいのでおしゃれを優先した場合、悪化させることが予測できます。
そのため、おしゃれは最小限にして露出はしないことが望ましく、冷え性の改善や予防を優先させる方が、母子ともに健康でいられる方法になります。
服装は、できるだけ体の芯を冷やさないよう考えたものが良いです。
暑い季節でも薄手のカーディガンを持ち歩いたり、工夫をすることが必要です。
インナーにも工夫をしていくと良いでしょう。
産後はゆっくりお風呂に入る時間なんてない!というママさんが多いのは本当の話です。
赤ちゃんをお風呂に入れたのはいいけど、今度は拭いて着替えさせて・・・とやっていたら自分がゆっくり入浴する時間はありません。
入ったとしても烏の行水状態のママさんたちは芯から温まることができませんので、そういったときには足湯を利用しましょう。
足湯は40℃から42℃くらいの熱めのお湯に足を入れて温めるもので、アロマオイルやバスソルトを少し入れるとリラックス効果もプラスされ、全身を温めることができます。
足首くらいまでのお湯があれば良いので、赤ちゃんが眠っている間にほんの15分程度足湯で十分に温まり、冷え性対策をしましょう。
積極的に飲みたいのは白湯です。
白湯は朝やお昼などエネルギーをたくさん消費する時間帯に飲むことがおすすめで、体内の老廃物を排出させてくれたり、内臓を温める効果が期待できます。